教育について考えていきましょう。

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典では、

教育(きょういく)とは教え育てること。知識,技術などを教え授けること。人を導いて善良な人間とすること。人間に内在する素質,能力を発展させ,これを助長する作用。人間を望ましい姿に変化させ,価値を実現させる活動とされている。では他の辞書ではどうでしょうか。

デジタル大辞泉では、

ある人間を望ましい姿に変化させるために、身心両面にわたって、意図的、計画的に働きかけること。知識の啓発、技能の教授、人間性の涵養(かんよう)などを図り、その人のもつ能力を伸ばそうと試みること。「教育を受ける」「新入社員を教育する」「英才教育」。学校教育によって身につけた成果。

百科事典マイペディアでは、

人間の諸能力を引き出し育成すること。教授,陶冶(とうや),訓練,養育などのカテゴリーを含む。また教育は,社会の持続と発展のために,個人または特定の機関が一定の価値を志向して未成熟な者をその社会に適応させる意識的な活動であり,社会統制の一種として制度化される。

世界大百科事典 第2版では、

人間は歴史的に規定された社会的環境のなかで,意図的,無意図的なさまざまな刺激とその影響を受けて,成長し発達する存在である。教育とは,広義ではこれらの人間教育全体を指すが,狭義では一定の目的ないし志向のもとに,対象に対する意図的な働きかけを指す。この場合にも,次の世代への意図的働きかけにとどまらず,成人教育,生涯教育という言葉が示すように,同世代の,あるいは世代間の相互教育(集団的自己教育)を含んで使用される場合もあるが,より限定的には,先行世代の,次の世代(子ども,青年)に対する文化伝達と価値観形成のための意図的働きかけをいう。

大辞林 第三版では、

他人に対して意図的な働きかけを行うことによって、その人を望ましい方向へ変化させること。広義には、人間形成に作用するすべての精神的影響をいう。その活動が行われる場により、家庭教育・学校教育・社会教育に大別される。 「子供を-する」 「義務-」 「 -のある人」

日本大百科全書(ニッポニカ)では、

教育の語源であるが、「教育」ということば(漢語)の使用例は、孔孟(孔子(こうし)と孟子(もうし))の時代にまでさかのぼることができる。今から2000年以上の昔に著された中国の古典『孟子』に、君子の楽しみの一つとして、「天下の英才を得て、これを教育する」ことがあげられているのが最初の出典である(『孟子』尽心・上)。その釈義は、文字どおり「教え育てること」であるが、対象とされるのはあくまでも「天下の英才」であって、どこにでもいるような「子供」を含めていわれていたわけではない。また、「教」は「學」(ならう)と「支」(軽くたたいて注意をあたえる)との合字で、「上から施されたことを下からならう」というのが原義であり、「育」の方は、「月」(肉月)と「子」の転倒した姿からできていて、出産場面を象徴しているともいわれ、「養う」というのが原義である。辞書などではこのように定義されている。現代日本ではこのように教育はなされているのか。